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春夏秋冬
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米澤榮三の連載コラム「春夏秋冬」

「春夏秋冬」は横浜市建築事務所協会の広報誌「HAMAKEN」に1997年4月から10年の間雑文を綴ったものです。協会会長職にあり、建築家の感性を会員や市民の皆様にご理解いただきたい一心で執筆致しました。最終の一年分を掲載しています。




春夏秋冬.110「茶摘み」
五月晴れ。泳ぐ鯉幟。軒先は蓬や菖蒲。粽や柏餅。
五節供の一つ端午の季節がやって来た。


立春から数え八十八夜。茜襷に菅の笠。旧友からの新茶を待つ。
居住する区の花。山桜が葉桜になり、牡丹の大きな花が盛り。
文京区本郷は坂上にある。坂上は東京大学。

明治以来、文豪達が愛でた坂。杜を目差し登る。
正門。工学部1号館。構内は古典的な静寂が湛わる。朝9時過ぎ。

15号講義室へ。建築史学会の研究発表会が開会。
今年は事務所の所内研修に充てた。講堂は竣工時の重厚な趣き。
講義空間を示唆し、建築家力量を残照とし感じる。

研究発表。エジプト丘陵遺跡の石積遺構、修道院建築の葉飾り柱頭、風景式庭園の人工廃墟建築と続く。
何処、廃墟建築が必要であったか。政治家が名誉と富を得、不足は由緒ある家系。

歴史を遡りゴシックの廃墟を建築。領地に歴史を作る。滑稽な人間臭さを発表。
ライトに送附した書簡、パゴダ図面。東寺西院の変遷では、僧房の個管理から僧団を象徴する場への変化が読めた。一人15分の発表に5分の質疑。

正午過ぎ迄、8研究が熱心に発表され、手応えあり。
午後は記念シンポジウム。それぞれの東京論と題し、江戸東京の様相を研究者達が論ずる予定。
80年代の地価高騰と規制緩和によるバブル経済からの20年。現在は華やかに都市再開発が進行中だが。

興味深いテーマで楽しみにしていたが、都内某再開発計画を受託。関内事務所に戻る破目に。
昼食に安田講堂へ向う社員と別れる。

再開発は、高層建築物が3本。人間の居住空間かと疑問を抱きながらスケッチ。すぐにのめり込む。
帰宅し資料を紐解く。多くが若い研究者。文献が設計の糧にもなる。若い研究成果を摘まして貰った。


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