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春夏秋冬
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米澤榮三の連載コラム「春夏秋冬」

「春夏秋冬」は横浜市建築事務所協会の広報誌「HAMAKEN」に1997年4月から10年の間雑文を綴ったものです。協会会長職にあり、建築家の感性を会員や市民の皆様にご理解いただきたい一心で執筆致しました。最終の一年分を掲載しています。




春夏秋冬.109「桜守」
例年より早期の桜開花。梅、辛夷、木蓮、連翹と短期間に咲く。

新年度が始まり、多くの出合いと別れが待つ。自然界の漲る活気。山笑う。負けずに活動を。

誰かの句。東海道五十三次桜かな。
雛祭りの頃。学生達と三渓園を訪問。恒例の最終授業。日本建築の風土性を探る。

生憎の小雨模様。大池の対岸も霞み、水鳥に春寒が漂う。今年は酒匂氏に園案内を依頼。
現役時代は英語教諭であった。

挨拶を済ませ鶴翔閣へ。三渓の居住用建物。百年余経過し5年前大改修。

その折、月見の想い出も。氏の案内で各部屋を視察。図らいで書斎も見学。
天心や画家達、庇護を拝受した者との語りを巡らす。

東慶寺仏殿へ向う。学生達は開放感から、動作に若さが弾む。駆け込み寺の由来に人権を学ぶ。

庄屋建築の旧矢箆家。合掌造、タウト、天蚕、世界遺産を説明。
飛騨地方の民具。手にし歓声。現代っ子達は、目を見張る。
昼食は待春軒。三渓弁当を頬張り、会話が行き交う。修行の安堵感と卒業制作の達成感が読める。

午後。地域の人々が待つ初音茶屋。鉄瓶で沸かした茶を御馳走になり、岨道を登る。三重塔。
関東ローム層の道を下る。内苑入口。
友好都市上海から寄贈の緑萼梅。清楚な様に佇み、想いを馳せる。

内苑建物を廻る。有楽斎の春草廬。建物一部の茶室三帖が国重文には、皆驚く。
私好みの聴秋閣。遊び心が随所に。そして均整あり。

天授院、月華殿を経て臨春閣へ。池に雁行に建つ。数奇屋の意匠。
狩野派の襖絵。別荘建築を前に京都桂離宮見学の頃を想い出す。

酒匂氏は、記念館迄案内頂いた。三渓の生涯や横浜市史の解説には、心から感謝を申し上げたい。
来春、桜を咲かす桜守。学生を桜に仮令、似ているなとふと想う。

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